[世界史の理解]
2023年01月11日
日独伊三国同盟とリッベントロップ(7)
この第7話が全10話の中核となるのですが、トップページの写真が示すように、リッベントロップとの交渉を行ってきた大島浩が帰国して不在で、親英米派の来栖三郎が調印していることが、この同盟の虚構さを何よりも雄弁に物語っていると言えるでしょう。1939年完成の新総統官邸での豪華な演出など、大日本帝国にとって明治維新以来初めてそして最後の国際条約の主役になったのがこの三国同盟条約だったとはなんとも皮肉な事です。ドイツが勝つという根拠が曖昧な前提、調印した以上は一蓮托生になる覚悟のなさ、三国それぞれが勝手に軍事行動に出る統一感の欠如、ナチスの勝利に便乗して世界征服に乗り出すという最悪のイメージなどいくらでも後付けの解釈は可能ですがあまりにもお粗末すぎました。リッベントロップもこの条約には反対で、一年後アメリカに宣戦布告することになりました。この条約締結後の、ヴィシーフランス、スペインのフランス総統との会談などからから考えると、リッベントロップはこの条約をイギリス向けに利用したかったようです。条約調印から2ヶ月もしない、1940年11月にはヒトラーはソ連攻撃を決定しているのですから、それまでの条約と同じようにドイツには条約は単なる紙切れでしかなかったと言えるでしょう。運悪く、日本も皇紀2600年のお祭り気分だったこともありあまりにも浅はかな決断となりましたが、その代償は300万以上の生命を奪うこととなってしまったのでした