三国同盟秘史
リッベントロップ(第10話)
ベローナ、ニュルンベルク、東京
第一次世界大戦後の社会不安を背景に1922年にはもうローマ進軍で政権を獲得していたムッソリーニは、ウィーンの下層労働者で学歴もないヒトラーのことを当初は軽蔑していたが、ヒトラーの政権獲得後の2度目のイタリア訪問の頃から立場は逆転し始める。その後のヒトラーの外交上の成功にも影響されて、スペイン内乱への介入やアルバニア保護国化や第二次世界大戦中立までは良かったが、ヒトラーの西部戦線における大成功に幻惑され対英仏参戦以降はイタリアの国力と軍隊の士気という点ではドイツとは比べ物にならなかった。ヒトラーが遠大な理想を掲げたのでムッソリーニもローマ帝国の在りし日の繁栄を再現すべく地中海沿岸を全てイタリアのものとするオクタヴィアヌスを目指して侵略を開始した。しかし、1941年には早くもギリシャで躓き北アフリカでもイギリス軍に苦戦しドイツのロンメル将軍の登場となったのであった。ソ連にも宣戦布告しているが、ドイツは他の同盟諸国と同様補助軍ぐらいにしか見ず側面援助くらいの役割であったが、ルーマニア軍やハンガリー軍と同じくソ連からは戦線崩しに狙われることとなり面目丸潰れとなった。こんな状況で、ヒトラーにソ連と講和してきたるべき英米との対決とイタリアの防衛にドイツ軍を割いてほしいとはあまりにも虫がいい話でヒトラーからは全く相手にもされなかった。おまけに、ムッソリーニの娘エッダの夫であったチアノ伯爵はドイツからは全く信頼を置かれなかった。ヒトラーはチアノのことを『胸の悪くなるような若僧』と呼んでいた。そもそもチアノは外相というよりムッソリーニの伝令の役割であった。そのことが彼の評価を非常に難しくしていると言えよう。夫婦揃って公然と愛人を持ち、特にエッダ夫人の上海駐在時の張学良将軍との恋仲は有名であるし、アルバニア保護国化と支配においてはかなり過酷なこともしたようだがドイツとの同盟に関しては一貫して反対だったようである。岳父にドイツと縁を切れとそれとなく仄めかした事はあるようだが相手にされなかった………
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